他郷阿部家

阿部家とは? > 宮本 英治さん

宮本 英治さん

深緑の静寂に包まれた銀山散策の途次、嘗て10万を超す人々の生活がそこにあったと知った。耳を澄ますと木葉を揺らす風音が悠久の時を超え、喧騒の中にあった。栄枯盛衰は歴史の必然、鰊に沸き立つ北海の町、賑わう炭鉱の町、人々の生活を支え守ってきた多くの証が発展の名のもとに歴史の彼方に。散策道を下り阿部家に辿り着きホッと一息。銀山を支えてきた阿部家だが世界遺産登録に関係なく登美さんは黙々と朽ち果てつつあった屋敷を再生したと聞いた。前夜、手作りのご馳走を頂いた。かまどで炊かれた飯のうまいことと言ったらなかった。物質文明中毒に侵された私は都会生まれの都会育ちで田舎もなし。前世は鎌倉時代と聞く、そんな自分が故郷と思える他郷阿部家、近いうち帰るつもりです。

History

宮本新八郎が1948年に八王子市元横山町にて着物の生産を開始する。1970年後半に現代表者が和服地から洋服地への転換を図り、素材開発に着手し現在に至る。この、国内外の多くのデザイナーやアパレルブランドに素材提案し、取り上げられる。又、天然繊維を使ったラスティック素材の開発、プラズマ・カットやアルカリ強縮などの後加工の開発、多重織ストールや立体織スカート、チューブトップ、キャップマフラー、プリーツ織などを開発し、常に時代を先取りした創造力は海外でも高く評価され、ヴィクトリア アンドアルバート美術館、ニューヨーク近代美術館、セントルイス美術館などにパーマネント・コレクションとして収蔵されています。又、業界への貢献や高い技術力、豊かな創造力により、ミモザ賞(日本)やエミー賞(米国)を受賞しました。

宮 本 英 治
生年月日
昭和23年3月10日
昭和41年4月
      法 政 大 学 経済学部 経済学科  入学
昭和45年3月
      法 政 大 学 経済学部 経済学科  卒業
昭和45年4月
      京王観光 株式会社 (昭和50年1月迄)
昭和50年2月
      みやしん 株式会社 入社
昭和59年12月
      みやしん 株式会社 取締役 (昭和61年11月迄)
昭和61年12月
       みやしん 株式会社 代表取締役専務 (平成16年1月迄)
平成16年2月
      みやしん 株式会社 代表取締役社長 (現職に至る)
平成18年4月
      文化ファッション大学院大学 教授 (現職に至る)


 みやしん㈱入社後、男物着物地の営業活動をする。

 1970年代後半より服地開発に着手。

 1980年代前半より本格的に服地生産を開始し、現在に至る。

 1980年代前半よりストール開発に着手。

 1990年代中頃より立体織半製品の開発に着手。

        その後、立体織製品を開発し、現在に至る。

  この間、三宅一生を始め多くの国内外デザイナーの服地開発を手掛ける。

   西武百貨店・伊勢丹・東武百貨店等のオリジナル製品を手掛ける。



平成元年4月
 通産省繊維リソースセンターデータベース構築委員会 委員 (平成2年3月迄)

平成4年4月
 八王子織物工業組合 広幅部会 副会長 (平成9年3月迄)

平成7年5月
 八王子ファッション協議会 ビジョン委員会 委員長 (平成11年3月迄)

平成7年7月
 ニューウエーブデザイナー(N・W・D)21 代表 (平成12年5月迄)

平成9年2月
 テキスタイルネットワークジャパン (T・N・J) 代表 (現職に至る)

平成9年5月
 八王子ファッション協議会 副会長 (平成15年3月迄)

平成10年4月
 八王子ファッション都市協議会 クリエーション部会 委員 (現職に至る)

平成12年4月
 八王子市地域産業振興会議 委員 (平成13年3月迄)
平成18年12月八王子織物工業組合 理事 (現職に至る)
平成19年4月
 ジャパンクリエーション産学コラボ検討委員会 委員 (平成20年3月迄)

平成22年4月
 八王子織物工業組合 共同委員会 副委員長 (現職に至る)



平成5年7月
      ミモザ賞 受賞 (原口理恵基金)

平成5年10月
      エミー賞 受賞 (米国)



特 許    
    
平成20年1月
      「織物製品及び織成方法」 特許出願

平成20年11月
      「プリーツ織製品及びその織成方法」 特許出願



作品所蔵

ヴィクトリア&アルバート博物館 (英国)
   エアリーウイーブストール   ワカメストール
ニューヨーク近代美術館 (米国)
    エアリーウイーブストール   
セントルイス美術館 (米国)
   エアリーウイーブストール


    業  界  活  性  化  活  動  歴


我国の衣服関連の繊維産地業者の殆どは国内アパレルからの受注によって成り立っている為、国内生産をしているアパレルの動向が産地業者の業績に直接影響している。アパレルが国内市場を守り、更に海外進出を果たしてグローバル化を図らねば産地業者はもとより繊維ファッション産業全体が衰退してしまう事は明らかである。国・都道府県・業界が一丸となって全体の発展に寄与すべき対策を講じてきたが、それらを僅かでも補完することが業界に携わる者としての使命であると考え、以下の微力な活動を行ってきた。



1.八王子ファッション協議会設立に参画

従来の産地組合とは一線を画し、地域・業界を超えてファッションに興味を持つ仲間で自己満足に陥らない本音の活動をする為に設立し、展示会・勉強会等の活動を行う。

参加業種:糸、撚糸、浸染、捺染、丸編、横編、経編、織物、整理、縫製、プリーツ加工、デザイナー、小売、プロデューサー、ジャーナリスト、専門学校、学生等



2.ニューウエーブデザイナー(NWD)21設立

二十一世紀に向かって、国際的に活躍できる才能を秘めた若手デザイナーへの支援が急務という考えの下1995年に設立。経糸(たていと)共通によるコストダウンを図りつつ各デザイナーのオリジナル素材を作成し、出来あがった服の合同展示会を開催。

参加デザイナー:小林茂樹、渕上俊幸、伊藤準、北沢美恵子、皆川明、安藤聡、丸谷宏、門脇洋一、谷口実奈子、大井田容子、内村寛治、パトリックライアン、桜井園子、若山雅紀、池本紫、南久恵等規模は縮小したが本年度も”チーム経糸(たていと)共通”グループにより素材開発を進めている。



3.テキスタイルネットワーク(現テキスタイルネットワークジャパン)設立

生産コスト削減を目的とした海外生産が飛躍的に増加したことにより国内生産基地が空洞化しつつあり産地受注が年々減少する中、オリジナリティーを持ちクリエイティブな生地創りをししかも将来に亘り現業を継続する意思を持つ仲間を結集し、お付き合い出展や来場者の数を競う展示会と一線を画し、服創りをする顧客と直接対話しながら本気で商売をすることを目的に1997年に設立。本年度は4月・10月に青山で開催、及び開催予定。



4.新進デザイナーの為のショップ”bus stop 224”オープン

八王子商工会議所に呼びかけ”ニューウエーブデザインコンテスト”を開催、優秀者20名の為のショップを空き店舗対策とデザイナー達のショップ経営経験を積ませる為に手作り改装で開店。



    業     界     活      動     歴


業界及び周辺各分野で講演や展覧会活動を行い、生地開発や販路開拓の方法や自身の経験等を聴講者に活かしてもらう事を目的に講演、又開発品を多くの人に知ってもらう事を目的に展覧会開催。



1.講演活動

各産地業界団体、公設機関、百貨店、学会、機構、自治体等にて講演

三河・尾州・福井・富山・広島他産地、新潟・長野・東京・群馬・新宿・渋谷他自治体、国際野蚕学会、シルクサミット、文化ファッション機構、日本テキスタイルデザイン協会、そごう、ジャパンソサエティー(NY)、テキスタイルスピリッツ等。

2.展覧会

国内外美術館、国内外ギャラリー、百貨店等にて個展・団体展NY近代美術館、フィラデルフィア美術館、セントルイス美術館、ココン(スペイン)、レスリークレーズギャラリー(英国)、ジャパンソサエティー等国外個展・団体展、国内各地ギャラリー・百貨店にて個展多数開催、「アーカイブとデザイン展」等



素材を手掛けたブランド・デザイナー(敬称略)

  三宅一生、山本耀司、細川伸、前田修、森孝之、李英姫、佐藤孝信、豊口武三、コシノヒロコ、シセ、
  菅井英子、菱沼良樹、大西和子、クロードモンタナ、継枝幸枝、稲葉ヨシエ、ワダエミ、ヨーガンレール、
  ツモリチサト、滝沢直己、三原康裕、コシノユマ、松場登美、浜井弘治、田山淳朗、高橋元希、森英恵、
  ダナキャラン、皆川明、小林茂樹、PLT、ペルマネンテ、Haat、池田貴夫、ミクストアップコンフュージョン
  BHV,アンスナム、ピューピル、AG,ユリウス、ジェイド、二コル、撫松庵、バジュラ、まとう、クラシカ、
  コシノジュンコ、甲賀真理子、木下美伽、平岩夏野、イン&ヤン、メルローズ、トローブ、飯田傘店、他多数



     教     育     活     動     歴


専門学校・美術系大学等で学び将来の業界を担う人材に対し、講義・工場見学・研修受入れ等を行う。又、専門職大学院である文化ファッション大学院大学にて実務家教員として実学を教える。



  1.講義

     1980年代前半に文化服装学院にて開始、東京デザイナー学院・文化学院、
     大塚テキスタイルデザイン専門学校、目白デザイン専門学校、IFIビジネス・スクール、
     武蔵野美術大学、文化女子大学、法政大学、東京造形大学、女子美術大学、日本文化大学、
     ファッションカレッジ・ヒロデザイン、中小企業大学校他



  2.研修受入れ

     1980年代中頃より文化服装学院生受入れ開始、現在まで専門学校生・美術大学生・
     特殊学校生等インターンシップを2週間から1ヶ月間、希望者には夏休みを中心に2週間から
     2ヶ月間程度毎年10~15名程度受入。
文化服装学院、大塚テキスタイルデザイン専門学校
     武蔵野美術大学、文化女子大学、東京トフィー・ファッション専門学校、多摩美術大学、
     女子美術大学、玉川大学、東京造形大学、シュタイナー学園他



  3.実務家教員

     2006年より文化ファッション大学院大学にて”テキスタイル開発論””産地資源創生”等の
     担当として現場視点からの教育を行っている。



     そ   の   他   の   活   動


1987年、日米貿易摩擦問題が懸案となる中、米国側の感情を少しでも和らげる為、ニューヨークの自由の女神 にジャンボマフラーを送ることを八王子銀杏祭り主催者に提案し、自ら考案した巨大な人間織機により巾7m長さ30mのマフラーを完成させた。



      研     究     開     発


1970年代後半より服地開発に着手、テキスタイルの専門的教育や現場を経験していなかった為、当時八王子市内にあった東京都立八王子工業高校の紡織科で使用していた教科書「織物」を入手し、独学で織物を学ぶ。教師や先輩がいなかった為、結果的に既成の枠に捉われない開発となった。自社と他社の生産設備の汎用性の違いを基に最も生産性が低く織り難い麻織物からスタートし市場にある麻織物と一線を画したシーズンに捉われない布開発を行う。その後、各種服地やストールの開発を経て現在に至る。
開発の基本を無限にある「織の組合せ」とし、周辺技術や知識を活かし他との差別化にとって最も重要な発想力に基づいた布づくりを目指した。



  開発テキスタイル

   1.麻を経(たて)糸にし、絹・毛等の素材と独自の織組織を組み合わせた冬の麻布
   2.繭から取出したままの生糸(きいと)を使用した多重織ストール
   3.多重織を使った立体織帽子・バッグ
   4.織の組合せによるプリーツ織
   5.多重織を使った立体織スカート・チューブトップ等の半製品
   6.現在、立体織パンツの開発中
   7.その他、経(たて)多重織、緯(よこ)多重織等多数のテキスタイルを開発



  テキスタイル加工の開発・復元
   1.中国から伝来した後、技術が途絶えた頬纈(キョウケチ)染の復元(1980年代)
   2.現在は一般的に塩縮加工と呼ばれるアルカリ強縮加工開発(1980年代)
   3.鉄工所と組んで開発したプラズマカット(1990年代)


  シャンブレー見本の作製
   2006年、永年に亘って計画していた5184色という世界に類を見ないシャンブレー見本を完成