他郷阿部家

阿部家とは? > 森まゆみさん

森 まゆみさん

わたしは1984年に東京の真ん中の古い町で地域雑誌をはじめた。
ちょうど登美さんと大吉さんが大森に帰った頃ではないだろうか?
古い家は古い友だち、家とは歴史の遺伝子が一杯詰まったメディアでもある。
そんな家に住む人々にその家にまつわる物語を聞いて,書き留めて、できたら残してほしかったけれど、土一升金一升といわれる東京ではそれは難しかった。
バブルの頃、そんな美しい人格と化した家は次々こわされていった。
それでも、いま谷根千とよばれる私たちの町は,古き良き町,猫と路地と人情の町として訪れる人が多い。その一角、桜木町に群言堂もお店を出してくださった。上野の博物館・美術館にも近いので、ぜひおたずねくださいね。
登美さん、大吉さんとは日本の文化、歴史を残す同志だと思っている。
阿部家に何度か泊めていただいて、そのたびにうっとりする。そして家へ帰るとなんと汚く雑然としているのだろう,と悲しくなる。でもいいのだ。人はその人のいる場所で,やれることをやるしかない。阿部家には「美」を、谷根千は「真」を,そして両方で「善」を追求しましょうね。