もらいもの
しばらく前に登美さんが実家からもらい受けたのは、何でも竹を描かせたらその筋で右に出るものはいないと評判の土井ナントカさん作の屏風。
真意の程は定かではありませんが、姉夫婦には、「噂ではかなり高価なものらしいけど、今流行の鑑定に出すなどしないように・・・」と強く杭を打たれたそうです。
「ものには、それぞれ生かされる場所がある」と、登美さんは言います。
これも同じように実家から阿部家の改築祝にともらい受けた黒柿の箪笥は、把手の金具が壊れていたり、開き戸の戸板が外れていたりと、当初は粗大ゴミに近い状態でした。それが今では、諸々の改修を済ませ、立派に納戸正面に鎮座して阿部家風景の一部にまでなっています。
姉夫婦の石見銀山訪問で久々の姉妹再会を果たし、続く阿部家での宿泊は、改修で甦り風格さえ漂う黒柿の箪笥との再会にもなりました。
阿部家で大事にされている黒柿の箪笥を見たお姉さんは、土井ナントカさんの屏風も、阿部家にある方が喜んでくれるだろうと、登美さんに託したのでした。きっとそのうち阿部家にとって「欠かせないもの」になる時が来るでしょう。
奥座敷に広げられた屏風を前にひと言。
「ものの価値は自分で決めればいいのよ。値段じゃないわ」
お姉さん夫婦の意向はしっかりと登美さんに引き継がれているようです。


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